両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「そんなんだから、心配になるんだよ」
 翔真さんの長い指が私の頬に触れる。その感触が気持ちよくて「ん……」と吐息がもれた。
 翔真さんは私の腰を抱き寄せ、そのままソファに押し倒す。
「あの、翔真さん……?」
 驚いて見上げると、翔真さんは軽く顔を傾けながら私を見下ろしていた。ぞくっとするほどの色気に体の奥が熱くなる。
 私を組み敷く翔真さんが、ゆっくりと体を屈め私の首筋に顔をうずめた。鎖骨のあたりを甘噛みされ、背筋が跳ねる。
 頬をくすぐる柔らかい髪や、肌に触れた唇の温度や、服の中に潜る指の感触。すべてが気持ちよくて、唇から「んん……」と甘い声が出る。
 いつもは私の排卵日に合わせて約束をしてから抱き合っていたから、こんなふうに前置きなく求められるのは初めてだ。
「あの、今日は排卵日じゃないですよ……?」
 戸惑いながらそう言うと、翔真さんは小さく首を傾ける。
「彩菜を抱きたい。だめ?」
 色っぽい表情で問われ、心臓が大きく跳ねた。
 だめなわけない。子作りとは関係なく翔真さんに求めてもらえるなんて、うれしいに決まってる。
 そう思っている間に、翔真さんは体をかがめ私の胸元にキスをする。
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