両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「ええと、さっき私が電話をかけたから、かけ直してきてくれたんだと思います」
事情を説明すると翔真さんはゆっくりと体を起こす。
「慌てて寝室から出て来たと思ったら、悠希に電話をしていたんだ」
「あの、ちょっと悠希に聞きたいことがあって……」
「それは、俺には言えない話?」
彼の問いかけに表情が強張った。うまく誤魔化すこともできずに黙り込んだ私を見て、翔真さんが静かにため息をついた。
眉をよせ苦し気な表情を浮かべた翔真さんに、慌てて言い訳をする。
「あの、本当にささいなことなので……っ」
「大丈夫。彩菜が誰よりも悠希を信頼しているのは、最初からわかってる」
翔真さんはそう言うと立ち上がり私に背を向けた。
「翔真さん……?」
「悪いのは彩菜が悠希を慕ってるとわかっていて、それでも手放せない俺のほうだ」
それはどういう意味だろう。聞きたいのに怖くて言葉にできなかった。
「出張の準備もあるし、部屋に戻るよ」
私はなにも言えないまま、リビングを出て行く彼を見送る。
頭の中は、不安と疑念でいっぱいだった。
悠希からの着信はすでに切れていた。もう一度かけ直す気力もなく、ひとり大きくため息をついた。
事情を説明すると翔真さんはゆっくりと体を起こす。
「慌てて寝室から出て来たと思ったら、悠希に電話をしていたんだ」
「あの、ちょっと悠希に聞きたいことがあって……」
「それは、俺には言えない話?」
彼の問いかけに表情が強張った。うまく誤魔化すこともできずに黙り込んだ私を見て、翔真さんが静かにため息をついた。
眉をよせ苦し気な表情を浮かべた翔真さんに、慌てて言い訳をする。
「あの、本当にささいなことなので……っ」
「大丈夫。彩菜が誰よりも悠希を信頼しているのは、最初からわかってる」
翔真さんはそう言うと立ち上がり私に背を向けた。
「翔真さん……?」
「悪いのは彩菜が悠希を慕ってるとわかっていて、それでも手放せない俺のほうだ」
それはどういう意味だろう。聞きたいのに怖くて言葉にできなかった。
「出張の準備もあるし、部屋に戻るよ」
私はなにも言えないまま、リビングを出て行く彼を見送る。
頭の中は、不安と疑念でいっぱいだった。
悠希からの着信はすでに切れていた。もう一度かけ直す気力もなく、ひとり大きくため息をついた。