両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
飯島社長は穏やかに笑いかけてくれた。息子の飯島さんとは対照的な、柔らかい雰囲気を持つ人だった。
「信也。なにか騒いでいたようだけど、吉永自動車さんに失礼なことはしていないだろうね」
心配するような視線を向けられた飯島さんは、さっきまでの態度が嘘のようににっこりと笑う。
「彼女が翔真の奥さんだっていうから、話が盛り上がっていただけだよ」
「おや。翔真くんの」
飯島社長は私を見て目じりを下げる。
「そうでしたか。お世話になってます。ほら信也。お茶でも淹れてきなさい」
社長に言われた飯島さんは、「はいはい」とため息をつきながら立ち上がり出て行った。
「態度の悪い息子ですみません」
「いえ、そんな……」
私はかぶりを振ってから、おそるおそる飯島社長にたずねる。
「あの、飯島社長は翔真さんとも面識が?」
「えぇ。お父様の吉永社長とは昔から親交があったんですよ。吉永社長はこんな小さな町工場にも本当によくしてくれて……」
私の質問に、飯島社長が楽しそうに思い出話をしてくれた。
飯島社長とお義父様が昔からの知り合いというのは本当なんだ。それなら、吉永家の事情を知っていてもおかしくはない。
「信也。なにか騒いでいたようだけど、吉永自動車さんに失礼なことはしていないだろうね」
心配するような視線を向けられた飯島さんは、さっきまでの態度が嘘のようににっこりと笑う。
「彼女が翔真の奥さんだっていうから、話が盛り上がっていただけだよ」
「おや。翔真くんの」
飯島社長は私を見て目じりを下げる。
「そうでしたか。お世話になってます。ほら信也。お茶でも淹れてきなさい」
社長に言われた飯島さんは、「はいはい」とため息をつきながら立ち上がり出て行った。
「態度の悪い息子ですみません」
「いえ、そんな……」
私はかぶりを振ってから、おそるおそる飯島社長にたずねる。
「あの、飯島社長は翔真さんとも面識が?」
「えぇ。お父様の吉永社長とは昔から親交があったんですよ。吉永社長はこんな小さな町工場にも本当によくしてくれて……」
私の質問に、飯島社長が楽しそうに思い出話をしてくれた。
飯島社長とお義父様が昔からの知り合いというのは本当なんだ。それなら、吉永家の事情を知っていてもおかしくはない。