両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「翔真くんは学生時代から優秀で努力家でした。うちの息子に少しは彼を見習いなさいと言い聞かせて来たんですよ」
「そうなんですか……」
「それなのに、翔真くんへの対抗心なのかプライドばかり高くなってしまってね。翔真くんが副社長に就任してからはとくに敵対視するようになってしまいました。複雑な事情があるのにあんなにまじめでまっすぐに育った翔真くんがうらやましい」
飯島社長の言葉が引っかかり、背筋が冷たくなった。
「複雑な事情、ですか?」
私がたずねると、社長は「おやいけない」と手で口元を隠す。
「こういうことは気軽に口にしていい話題じゃないのに、ついぽろっと。昔からうっかり屋でね」
きっとこうやって、息子である飯島さんに翔真さんの事情を話してしまったんだろう。
「申し訳ない」と謝る社長に、なんとか笑顔を作りながら会話を続ける。胸のあたりのもやもやはどんどん大きくなっていった。
社交的な飯島社長がいろいろお話をしてくれたのもあって、飯島製作所を出たときにはすでに就業時間を過ぎていた。
遅くなってしまったなと思いながら会社に電話をすると萌絵さんが出た。
「今、飯島製作所さんとの打ち合わせが終わりました」
「そうなんですか……」
「それなのに、翔真くんへの対抗心なのかプライドばかり高くなってしまってね。翔真くんが副社長に就任してからはとくに敵対視するようになってしまいました。複雑な事情があるのにあんなにまじめでまっすぐに育った翔真くんがうらやましい」
飯島社長の言葉が引っかかり、背筋が冷たくなった。
「複雑な事情、ですか?」
私がたずねると、社長は「おやいけない」と手で口元を隠す。
「こういうことは気軽に口にしていい話題じゃないのに、ついぽろっと。昔からうっかり屋でね」
きっとこうやって、息子である飯島さんに翔真さんの事情を話してしまったんだろう。
「申し訳ない」と謝る社長に、なんとか笑顔を作りながら会話を続ける。胸のあたりのもやもやはどんどん大きくなっていった。
社交的な飯島社長がいろいろお話をしてくれたのもあって、飯島製作所を出たときにはすでに就業時間を過ぎていた。
遅くなってしまったなと思いながら会社に電話をすると萌絵さんが出た。
「今、飯島製作所さんとの打ち合わせが終わりました」