両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
こんな込み入った事情に踏み込むのは失礼だ。そう思ったけれど、お義母様にじっと見つめられ、おずおずと口を開いた。
「聞いてしまったんです。翔真さんがお義母様の実の子どもじゃないと」
「それは、翔真から聞いたの?」
「聞いたのは、彼からではありません。でも、そのあと翔真さんに確認したら、『本当だよ』と認めていました」
「翔真はなんと言っていたんだい?」
お義父様にたずねられ口にしていいのか迷っていると、お義母様が真剣な表情で身を乗り出した。
「お願い、彩菜ちゃん。翔真が言った言葉をそのまま教えて」
切実な口調で懇願され、きちんと伝えるべきだと覚悟を決める。
「翔真さんは、自分はお義父様の不倫の末にできた子どもだと言っていました。そして、実の母親に捨てられて吉永家で育てられたって」
「どうして翔真はそんな思い込みを……」
「違うんですか?」
「違うに決まってる。翔真の母親が別の女性なのは事実だが、私は不倫なんてしていない。翔真が産まれたのは結婚をする前のことだ」
お義父様はきっぱりとそう言い切る。
「それに、実の母親に捨てられたなんて嘘よ。翔真はとても愛されて育てられていたのよ」
お義母様の言葉には愛と優しさが込められていた。
「きちんと話すべきだね。翔真のことを」
「そうね」
「聞いてしまったんです。翔真さんがお義母様の実の子どもじゃないと」
「それは、翔真から聞いたの?」
「聞いたのは、彼からではありません。でも、そのあと翔真さんに確認したら、『本当だよ』と認めていました」
「翔真はなんと言っていたんだい?」
お義父様にたずねられ口にしていいのか迷っていると、お義母様が真剣な表情で身を乗り出した。
「お願い、彩菜ちゃん。翔真が言った言葉をそのまま教えて」
切実な口調で懇願され、きちんと伝えるべきだと覚悟を決める。
「翔真さんは、自分はお義父様の不倫の末にできた子どもだと言っていました。そして、実の母親に捨てられて吉永家で育てられたって」
「どうして翔真はそんな思い込みを……」
「違うんですか?」
「違うに決まってる。翔真の母親が別の女性なのは事実だが、私は不倫なんてしていない。翔真が産まれたのは結婚をする前のことだ」
お義父様はきっぱりとそう言い切る。
「それに、実の母親に捨てられたなんて嘘よ。翔真はとても愛されて育てられていたのよ」
お義母様の言葉には愛と優しさが込められていた。
「きちんと話すべきだね。翔真のことを」
「そうね」