両片想い政略結婚～執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない～
　幼なじみとして育ってきた俺たち三人。
　四歳年下の彩菜は無邪気で天真爛漫でとてもかわいかった。懐いてくれるのがうれしくて、大切な妹のように思っていた。
　けれど彼女が中学に入ったころから、彩菜は俺を避けるようになった。
　悠希の前では明るく笑うのに、俺を見るととたんにうつむき黙り込む。その態度の違いを見て、彩菜の気持ちを察した。
　彼女は悠希が好きなんだ。
　年が近いふたりはとても仲が良く、よく一緒に出掛けて買い物をしたりしていた。
　いつの間にか親密になったふたりを見て、寂しさと疎外感を覚えたけれど、仕方がないとあきらめた。
　いつだって人から好かれるのは、俺ではなく悠希だから。
　明るくやんちゃな悠希は、誰からも愛される存在だった。反対に俺は一歩引いた静かな性格で、悠希のように自由に振舞い素直な気持ちを表に出すことができなかった。
　兄弟のはずなのに、どうしてこんなに性格が違うんだろうと疑問に思ったこともある。そして、自分はこの家族に不要な存在なんじゃないかと感じ始めた。
　それは物心ついたときからわずかな違和感があったから。
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表紙・目次

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