両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
望まれずに生まれた俺に対して、父も母もとても優しかったから。とくに母は愛人の子である俺と実の子である悠希に、平等に愛情を注いでくれた。
でも優しくされればされるほど、罪悪感は大きくなった。
それからは、せめて両親の理想の息子であるようにと努力するようになった。
両親に迷惑をかけたくない。引き取ったことを後悔してほしくない。それだけが俺の行動原理で、ほかにほしいものもしたいこともなかった。
だけどひとつだけ、自分の中で譲れないものがあった。それが、彩菜だった。
ぽつりぽつりと今までの俺の気持ちを振り返ると、彩菜は目を瞬かせた。
「私……?」
「あぁ。彩菜が好きだという気持ちだけは譲れなかった」
「どうして私なんか……。翔真さんの周りには、大人っぽくて綺麗で魅力的な女性がたくさんいたのに」
「十年以上前。ふたりで子猫を拾ったときのことを覚えてる?」
俺の問いかけに、彩菜は「タビちゃんですね」とうなずいた。
それは彩菜が高校生で、俺が大学生だったころ。
大学から帰ると庭のほうから物音が聞こえた。なんだろうと思い音のするほうへ足を向ける。
そして東屋の下でしゃがみこむ彩菜の姿を見つけた。
でも優しくされればされるほど、罪悪感は大きくなった。
それからは、せめて両親の理想の息子であるようにと努力するようになった。
両親に迷惑をかけたくない。引き取ったことを後悔してほしくない。それだけが俺の行動原理で、ほかにほしいものもしたいこともなかった。
だけどひとつだけ、自分の中で譲れないものがあった。それが、彩菜だった。
ぽつりぽつりと今までの俺の気持ちを振り返ると、彩菜は目を瞬かせた。
「私……?」
「あぁ。彩菜が好きだという気持ちだけは譲れなかった」
「どうして私なんか……。翔真さんの周りには、大人っぽくて綺麗で魅力的な女性がたくさんいたのに」
「十年以上前。ふたりで子猫を拾ったときのことを覚えてる?」
俺の問いかけに、彩菜は「タビちゃんですね」とうなずいた。
それは彩菜が高校生で、俺が大学生だったころ。
大学から帰ると庭のほうから物音が聞こえた。なんだろうと思い音のするほうへ足を向ける。
そして東屋の下でしゃがみこむ彩菜の姿を見つけた。