両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
そのころ彩菜は同じ学校に通う一歳年上の悠希に勉強を教えてもらっていた。今日も悠希の部屋で勉強して帰るところだったんだろう。
こんなところでなにをしているんだろう。不思議に思い彼女の名前を呼ぶ。
『彩菜?』
俺の声を聞いた彩菜が、焦った表情でこちらを振り返った。
『翔真さん……っ!』
いつも俺が近づくと目を逸らす彩菜が、まっすぐにこちらを見た。そのすがるような表情に驚きながら彼女に近づく。
『どうした?』
『ベンチの下に子猫がいたんです』
そう言って差し出した彼女の手の中には、小さな子猫がいた。
茶色のトラ柄の子猫は生まれたばかりなんだろう。自力で歩くこともできず、目が見えているかもわからないほど小さい。
その姿を見て顔をしかめる。
『かなり弱ってるな』
ミャーミャーと細い声で鳴く子猫は、あきらかに衰弱しているように見えた。
『母猫もいなくて、どうしたらいいのか……』
彩菜は途方にくれたようにつぶやく。
このまま放っておけば、死んでしまうのは間違いない。
『小さくて弱いから、母猫に捨てられたのかもしれない』
俺の冷静な言葉を聞いて、彩菜が息をのんだ。
『そんな……』
『猫は一度に数匹の子猫を産むから、弱い子猫を見捨てる場合もあるんだろう』
こんなところでなにをしているんだろう。不思議に思い彼女の名前を呼ぶ。
『彩菜?』
俺の声を聞いた彩菜が、焦った表情でこちらを振り返った。
『翔真さん……っ!』
いつも俺が近づくと目を逸らす彩菜が、まっすぐにこちらを見た。そのすがるような表情に驚きながら彼女に近づく。
『どうした?』
『ベンチの下に子猫がいたんです』
そう言って差し出した彼女の手の中には、小さな子猫がいた。
茶色のトラ柄の子猫は生まれたばかりなんだろう。自力で歩くこともできず、目が見えているかもわからないほど小さい。
その姿を見て顔をしかめる。
『かなり弱ってるな』
ミャーミャーと細い声で鳴く子猫は、あきらかに衰弱しているように見えた。
『母猫もいなくて、どうしたらいいのか……』
彩菜は途方にくれたようにつぶやく。
このまま放っておけば、死んでしまうのは間違いない。
『小さくて弱いから、母猫に捨てられたのかもしれない』
俺の冷静な言葉を聞いて、彩菜が息をのんだ。
『そんな……』
『猫は一度に数匹の子猫を産むから、弱い子猫を見捨てる場合もあるんだろう』