両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 そんな彩菜の姿を見ているうちに、「ははっ」と笑い声がもれた。
「そっか。今まで彩菜が俺の顔を見るたびに黙り込んでいたけど、心の中ではこんなことを考えていたんだ?」
 俺の言葉を聞いた彩菜は、はっとしたように顔を上げる。
「どうしよう。動揺しすぎて考えていることをそのまま口に出してしまった……っ」
 それまで真っ赤だった顔が、みるみる青ざめていく。
「す、すみません……。翔真さんが好きすぎて興奮して悶えていたなんて、気持ち悪いですよね。こんなに好きだと知られたら絶対引かれるだろうから、今まで必死に隠してきたのに……!」
 視線を泳がせる彩菜の腰に手を伸ばし引き寄せる。
「引くわけないだろ」
 そうささやくと彩菜が目を瞬かせた。
「そんなに好きでいてくれたなんて、すごくうれしいよ」
「本当ですか……?」
 疑うような表情で問われ、微笑んでうなずいた。
「どちらかというと、本性を知られて引かれるのは俺のほうだと思う」
「翔真さんに引く要素なんてひとつもないですけど」
「どうだろうね。俺は彩菜が思っているよりもずっと君に執着しているし、独占欲が強くて心の狭い男だよ」
「まさか。翔真さんの心が狭いと思ったことは一度もないですよ」
 疑いを知らない純粋な彩菜ににっこりと笑いかける。
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