両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「その……、避妊具を」
 口ごもりながら言った言葉を聞いて納得する。
 数日前、彩菜が動揺した様子で俺の寝室から出て来たことがあった。きっとあのとき見つけたんだろう。
「パッケージは開いていました。ってことは、翔真さんはあの避妊具を使ったってことですよね?」
「あぁ。勝手なことをして悪かった」
「それは、誰と使ったんですか?」
「彩菜とに決まってるだろ」
「え……?」
 彩菜はきょとんとした顔で俺を見た。
「俺たちは、月に一度子作りのために抱き合っていただろ?」
「はい。だから避妊具なんて必要ないのに」
「彩菜が俺に抱かれるのは、子作りのためだけだと思ってた。妊娠したら、もう俺は二度と君を抱けなくなるんじゃないかと思って……」
 最初は彩菜と夫婦になれただけで十分だった。彼女が望まないのなら一生触れられなくても我慢しようと思っていた。
 けれど、彩菜から子どもがほしいと言われ、月に一度だけ抱き合うようになった。
 ベッドの中で恥じらいながら感じる彼女は、想像以上にかわいくて愛おしさに我を忘れそうになった。
 彩菜は俺が好きだから抱かれたがっているわけじゃない。わかっているのに、彼女に触れれば触れるほど、愛情と欲望は大きくなっていった。
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