両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
エピローグ

エピローグ

 ゆっくりと目を覚まし瞬きをする。ぼんやりとまどろみながら視線を横に向けると、翔真さんの整った顔があった。
 翔真さんは先に起きていたんだろう。私が目を覚ましたのに気付きふわりと微笑む。
 枕に頬杖をついてこちらを見つめる翔真さんからは、朝一だというのに色気と余裕があふれ出ていた。
「おはよう、彩菜」
 甘い声でささやかれた私は、挨拶を返すのも忘れ「どういうことですかいったい……!」と叫んだ。
「ん?」
 きょとんと首をかしげる表情すら素敵すぎて心臓が跳びはねる。
「寝起きの時点からこんなにかっこいいなんて、ずるいです……!」
 二十四時間、三百六十五日、年中無休で魅力的すぎる。私が苦情をもらすと、翔真さんはくすくすと肩を揺らして笑った。
「俺も同じことを考えてた」
 翔真さんは手を伸ばし、私の体を抱き寄せる。
「同じことですか?」
「あぁ。彩菜は寝ていても起きていても、ずっとかわいいなと思ってた」
 甘い視線に心臓を撃ち抜かれた。私は両手で顔を覆い、ときめきに体を震わせる。
「旦那様がかっこよすぎる……」と身もだえていると、翔真さんが気遣うように声をかけてくれた。
「彩菜、体はつらくない?」
 そう言われ、昨夜のことを思い出し頬が熱くなる。
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