両片想い政略結婚～執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない～
「冗談だと思っていたのにまさか本気だったなんて。いくらなんでも過保護すぎでは」
「俺は彩菜が想っているよりも、ずっと君に執着をしてるって言っただろ」
　翔真さんが私を見下ろしながらそう言った。一見涼し気に見える黒い瞳に、ぞくっとするほどの情熱が隠されている気がした。
　萌絵さんが言っていたとおり、彼は独占欲が強くて過保護なんだ。そう実感して鼓動が速くなる。
「本当の俺を知って幻滅した？」
　その問いかけに首を横に振った。
　幻滅なんてするわけない。翔真さんが私を大切に想ってくれていたことが伝わって来てうれしかった。
　翔真さんは常に冷静で余裕のある大人の男の人だと思っていた。私なんかじゃ不釣り合いだと感じていた。
　だけど翔真さんは本当に私を愛してくれているんだ。私の言動に振り回され、こんなに必死になるくらい。
　そう実感して泣きそうになる。
「翔真さん」と名前を呼ぶ。
　目の前にいる世界一素敵な旦那様に、私は涙をこらえながら抱き着いた。
「大好きです」
　たくましい胸に顔をうずめて言うと、彼は優しく私の頭をなでてくれた。
「俺も、愛してるよ」
　そう言って私のあごをすくい上げ甘いキスをする。微笑みながら短いキスを繰り返し、気持ちを伝えるように両手でぎゅっと抱きしめる。
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