両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「取材に来たのが男で、彩菜が口説かれないかとか?」
「まさか!」
「でも、俺と結婚しているのを隠していただろ」
 ちょっと不満そうに言われ「すみません」と謝った。
「翔真さんと私とでは不釣り合いだと思われそうで……」
「不釣り合いなわけがない。そもそもこの結婚は、吉永家のほうからぜひにともちかけたんだから」
 それは、藤沢家の名前と人脈が目的だからで、私自身に価値があったわけではない。
 私がうつむいていると、翔真さんは上品なデザインの小さな紙袋を差し出した。
「これは?」
「お土産」
 社外での仕事が多い翔真さんは、こうやって私にお土産を買ってきてくれることがある。
 綺麗な花束や宝石のようなスイーツ、かわいらしい和菓子。翔真さんの贈り物はいつも素敵でセンスがよかった。
「ありがとうございます。開けてもいいですか?」
「もちろん」
 なんだろうと思いながらリビングに移動し紙袋をのぞく。上品なデザインの四角い箱が入っていた。
 ただよう高級感に気圧されまじまじと箱を見つめる。
 翔真さんは小さく笑い私の代わりに箱を開けた。中に入っていたのはシンプルで美しいブレスレット。
 上品で素敵だなと思っていると、翔真さんは涼しい表情で私の腕をとりブレスレットをつけようとする。
「えっ。これ、私にですか?」
 動揺する私を見て、翔真さんは首をかしげた。
「気に入らない?」
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