両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
憧れの人との結婚
2 憧れの人との結婚
今から半年前。
翔真さんと私の披露宴には、両家の親類や会社の関係者はもちろん政財界の有力者など、国内外から三百人以上のゲストが招待されていた。会場は歴史ある高級ホテルの一番広いバンケットルーム。
披露宴が始まる直前。私は大きな両開きの扉の前で緊張しながら立っていた。
自然と呼吸が浅くなり、心臓がものすごい音をたて胸を打つ。手のひらには汗が浮かび、膝が震えていた。
必死に平静を装っているつもりだったのに、隣にいる翔真さんには私の動揺が伝わったんだろう。
「彩菜、緊張してる?」
翔真さんは心配そうな表情で私を見た。背の高い彼に見下ろされ、さらに鼓動が速くなった。
私が緊張するのも無理はない。だって、世界で一番大好きな翔真さんが、超絶かっこいい新郎として私の隣に立っているんだから。
長身でスタイルがいい彼の純白のタキシード姿は、まるで王子様のように清廉で凛々しかった。
気品のある空気をまとい背筋を伸ばしてたたずむ様子は近寄りがたいほど美しい。胸元の深紅のバラのブートニアが彼の大人の魅力を際立たせて、匂い立つような色気も感じる。かっこよすぎて卒倒しそうだ。