両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
小さなころから大好きだった翔真さんと本当に結婚できるんだ……。そう思うだけで心臓は爆発寸前だった。
「だ、大丈夫です……」
なんとか首を横に振ったけれど、私の口から出た声は情けないほどか細かった。
「大丈夫じゃなさそうだね。少し休んだほうがいい。控室に行こう」
翔真さんはそう言って式場のスタッフに目配せをすると、私の腰を抱き歩き出そうとする。
「で、でも。これから披露宴が始まるのに、控室に行っている余裕は……」
「披露宴のことなんて、気にしなくていい」
「たくさんの招待客の皆さんが待っているのに、気にしないわけにはいきません」
必死に説得する私に、翔真さんは真剣な表情で口を開いた。
「招待客より、彩菜のほうが大切だ」
まっすぐに私を見つめる翔真さんに、心臓を撃ち抜かれる。
愛のない政略結婚の相手である私にまでこんなふうに気を使ってくれるなんて、翔真さんはどこまで優しいんだろう。
尊さに唇を噛んでいると、「彩菜、ガッチガチだな」とからかうような声が聞こえてきた。
驚いて振り返る。細く開いた扉から出て来たのは、翔真さんの弟の悠希だ。
「悠希。抜け出してきたのか」
翔真さんが咎めるように彼を見る。
「あぁ。彩菜が緊張してるだろうと思ってからかいにきた」
「だ、大丈夫です……」
なんとか首を横に振ったけれど、私の口から出た声は情けないほどか細かった。
「大丈夫じゃなさそうだね。少し休んだほうがいい。控室に行こう」
翔真さんはそう言って式場のスタッフに目配せをすると、私の腰を抱き歩き出そうとする。
「で、でも。これから披露宴が始まるのに、控室に行っている余裕は……」
「披露宴のことなんて、気にしなくていい」
「たくさんの招待客の皆さんが待っているのに、気にしないわけにはいきません」
必死に説得する私に、翔真さんは真剣な表情で口を開いた。
「招待客より、彩菜のほうが大切だ」
まっすぐに私を見つめる翔真さんに、心臓を撃ち抜かれる。
愛のない政略結婚の相手である私にまでこんなふうに気を使ってくれるなんて、翔真さんはどこまで優しいんだろう。
尊さに唇を噛んでいると、「彩菜、ガッチガチだな」とからかうような声が聞こえてきた。
驚いて振り返る。細く開いた扉から出て来たのは、翔真さんの弟の悠希だ。
「悠希。抜け出してきたのか」
翔真さんが咎めるように彼を見る。
「あぁ。彩菜が緊張してるだろうと思ってからかいにきた」