両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 そして悠希は、私が翔真さんにずっと片想いをしてきたのを知っている。
 一歳差の悠希とは中学、高校と同時期に同じ学校に通っていた。
 学生時代、明るく社交的でしかも顔までいい悠希は、学校の女子生徒の半分は彼のことが好きなんじゃないかと言われるくらいのモテっぷりで、周りには常にたくさんの女の子がいた。
 そのころから女の子と付き合ったり別れたりを繰り返してきた遊び人の悠希は、今も特定の恋人を作らずその場限りの恋愛を楽しんでいるらしい。
 そんな恋愛経験豊富な彼に、私はいつも恋の相談をしてきた。
 ちなみに翔真さんとは四歳差なので同時に学校に通うことはなかったけれど、先輩たちの話では悠希と同じかそれ以上にモテていたらしい。
 ただ、悠希と違ってふらふら遊んだりしない、真面目な優等生だったそうだ。そんなところも本当にかっこいいと思う。
 そんな過去のことを思い出していると、悠希が私の肩を叩いた。
「彩菜。どうせ緊張するなら、とことん緊張しろよ」
「え? どういう意味?」
「ドレスの裾を踏んでウエディングケーキにつっこむくらいの失敗を期待してるから」
 人の失敗を期待するなんて。悪趣味な悠希に顔をしかめる。
「冗談でもそんなこと言うのはやめてよ」
「なんで? 一生の思い出に残るじゃん」
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