両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 あんなに魅力的で素敵な翔真さんが、私で満足してくれるのだろうか。経験のない私にがっかりして、つまらない女だと失望されたらどうしよう。そもそも私は翔真さんに抱かれて正気を保てるのか。一気に自信がなくなってくる。
 あんなかっこいい翔真さんに抱きしめられて組み敷かれてキスをされて……。その様子を思い浮かべ、思わず「無理!」と悲鳴を上げる。
 想像するだけで興奮しすぎて頭がくらくらするのに、実際にベッドでこちらを見下ろす翔真さんを目の当たりにしたら、『どうしよう』『かっこいい』『大好きすぎる!』と叫んでしまいそうだ。
 翔真さんは会社のために私を妻にしただけなのに、一方的に彼への好意を押しつけたら絶対困らせる。むしろドン引きされる気がする。
 なんとか冷静にならなければ……。
 私がリビングでひとり青くなったり赤くなったりしていると、ドアが開く音がした。入って来たのは、お風呂上がりの翔真さん。
 白いTシャツにハーフパンツというリラックスした服装の彼が、洗いざらしの黒髪をかき上げながらこちらを見る。
 お風呂上がりの彼からはさわやかさと色気という相反する魅力があふれ出ていて、心臓が止まるかと思った。
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