両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 こんなお願いをしてしまった自分が恥ずかしくて、慌てて言い訳を付け加える。
「あの、子どもが!」
「子ども?」
 唐突な言葉に翔真さんが首をかしげた。
「せっかく結婚したんですから、子どもがほしいです。うちの家族や翔真さんのご両親も、きっとかわいい孫を期待しているでしょうし……」
 私の必死の説明を聞いて、翔真さんが「そうか。子どものためか」と納得したように肩を下ろす。
「結婚してから今まで、自分を抑えるのに必死でそこまで考える余裕がなかった」
「必死? 翔真さんが?」
 彼はずっと余裕で落ち着いているように見えたけど。いったいなにを抑えていたんだろうと不思議に思う。
 私が困惑しているうちに、翔真さんは自分の気持ちを整理するように息を吐き出す。そして私を見つめ口を開いた。
「わかった。じゃあ、これからはしようか」
 穏やかな声でそう言われ、「……はい。ぜひ。お願いします」と緊張しながらうなずく。
「都合のいい日はいつ?」
「都合の?」
 まるで仕事のスケジュールを確認するような冷静な問いかけに、一瞬きょとんとする。
「生理周期とか排卵日とか、いろいろあるだろ」
「あ。そうですよね……!」
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