両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 子作りを口実にしたんだから、その辺のことをちゃんと調べないとおかしいよね。動揺しながらスマホを見る。
 生理前になると頭痛に悩まされることが多い私は、体調が管理しやすいように生理周期を記録するアプリを入れていた。
 その画面を開くと前に生理が始まったのは二週間前。ということは……。
「あの、今日がその」
「排卵日?」
 私がうなずくと、翔真さんが小さく笑った。
「狙ったようなタイミングだな」
「いえ、決して狙ったわけじゃなく、本当にたまたまで……っ!」
 これじゃあ私が抱いてほしくてたまらなくて、わざと今日この話題を持ち掛けたみたいだ。
 顔を真っ赤にして説明する私を見て、翔真さんが「わかってるよ」と優しく笑った。そしてこちらに手を伸ばす。
 彼の長い指が頬に触れた。それだけで肩がぴくんと揺れてしまう。
「あの、翔真さん……」
 ドキドキしながら彼を見上げる。いつも涼し気な黒い瞳が、いつもとは違う熱を帯びている気がした。
「じゃあ、今日は俺の部屋で寝る?」
 耳元でそう問われ、大きく音をたてる心臓を抑えながらうなずいた。

 翔真さんの寝室に移動すると、彼は私を優しく押し倒した。
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