両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 柔らかいマットレスに体を沈ませ、ドキドキしながら翔真さんを見上げる。目が合うと彼は私を安心させるように笑ってくれた。
 はー……。本当にかっこいい……。
 幼いころから知っていて、一緒に暮らして三カ月になる。
 そろそろ翔真さんの魅力に慣れてもおかしくないはずなのに、私の心臓は彼を見るだけでドキドキと激しく高鳴る。
 ベッドに膝をついた彼は、私を見下ろしながらシャツを脱いだ。そして乱れた髪をかきあげる。
 目の前に現れたしなやかな筋肉がついた引き締まった体に、思わず「はぁ……っ」とため息がもれてしまう。
 あああああ……。顔だけじゃなく、体つきまでかっこいいなんて反則では……!
「どうかした?」
「いえ、あの。すごく鍛えているんだなと思って」
「あぁ。ずっと剣道をやってきたからかな。今は時間のあるときに軽いトレーニングしかしてないけど」
 そう言われ、剣道に打ち込んでいた学生時代の翔真さんを思い出す。
 すっと背筋を伸ばした姿勢。芯が通った立ち姿。真剣な表情。
 何度か応援に行ったけれど、試合中の彼は凛とした空気をまとっていて、面で顔を隠していてもほれぼれするほどかっこよかった。
「素敵でしたよね、剣道をする翔真さん。全国大会で優勝したときのことを今でもはっきり覚えてます」
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