両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 こんなに近くで彼を見つめたのは初めてかもしれない。
 この超至近距離で見てもかっこいいってどういうこと?と軽くパニックになる。
 だめだ。こんなに美しい物を直視し続けたら血管が破裂する……っ。
 命の危険を感じぎゅっと目を閉じると、翔真さんが動きを止めた。
 いつまでたってもキスをされる気配はなくて、どうしたんだろうとおそるおそる目を開けると、彼は少し寂しそうな表情をしていた。
「翔真さん……?」
 声をかけると彼はすぐに優しく微笑み、「なんでもないよ」と私の髪をなでてくれる。
「大丈夫。いやがることはしないから」
 そう言ってゆっくりと身をかがめ、唇ではなく私の首筋にキスをした。
 柔らかい唇の感触に、「んっ」と声がもれ体が震える。翔真さんの唇がゆっくりと下に移動していくにつれ、私の口からもれる声が湿り気を帯びていく。
 これから翔真さんに抱かれるんだという実感がわいてきて、どうしていいのかわからないくらい緊張していた。
 パジャマのボタンが外され、翔真さんの長い指が私の胸の膨らみに触れた。下着の上から優しくもみしだかれると甘い吐息が止まらなくなる。
 どこに触れられても甘い電気が走り、体の中心が熱くとろけていく。自分の体が制御できなくて、おかしくなってしまいそうだ。
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