両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
 肌と肌が触れ合うのが気持ちよくて、自然とため息がもれる。
 強張っていた私の体から力が抜けたのに気付いたんだろう。翔真さんがゆっくりと愛撫を再開する。
 この暗さなら翔真さんの顔は見えないし、私がどんなに表情をしているかもわからないだろう。その安心感のせいか、体が素直に反応してしまう。
「んん……っ!」
 翔真さんの指が私の肌に触れるたび、背中がしなり声がもれる。
 快楽に翻弄される私を見下ろした翔真さんは「すごいね」とつぶやいた。
「さっきよりもずっと敏感になってる。そんなに気持ちいいんだ?」
 私の体の奥まで指を差し入れ、反応をたしかめるように愛撫をしながらそう言う。
 恥ずかしいのに、その言葉を肯定するように体の内側が勝手に収縮し、彼の指を締めつけてしまう。
 どうしよう。気持ちよすぎて言葉にならない。
 あたえられる快感に翻弄される私を見て、翔真さんが静かにつぶやいた。
「……暗ければ俺の顔を見ずにすむし、声だけなら似てるもんな」
 葛藤を押し殺すような声に、不思議に思って視線を上げる。
 似てるって。いったい誰に……?
 そう思ったけれど、暗闇のせいで翔真さんの表情はわからない。差し込まれた指に敏感な部分を刺激され思考が快楽に溶かされていった。

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