両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「日本のスーパー久しぶりだ。カートも商品も小さ!」
「そんなに感激する? ちょこちょこ帰国してるのに」
 悠希は半年前の私の結婚式に参加してくれたし、二カ月前に日本で行われたモーターショーのときも帰って来ていた。
「こっちに帰ってきたらあちこち挨拶に連れ回されて、スーパーをぷらぷらする暇なんてない」
 悠希の言葉に「たしかに」と納得する。
 普段日本にいない分、帰国したときにはたくさんのスケジュールを詰め込まれていつも大変そうだったっけ。
 悠希はカートを押しながら、目に入った商品をどんどんカゴに入れていく。
「見たことないのがいっぱいある。おもしろい」
「買うのはいいけど、そんなに食べきれる?」
「大丈夫大丈夫。俺が払うし」
「久しぶりに帰って来たんだから、これくらい私が払うよ」
「マジで? じゃあもっと買おうっと。あとで酒屋も寄っていい? 日本酒飲みたい」
 まったく遠慮しない彼に、苦笑しながらうなずく。
 悠希が気になったものを片っ端から手に取るおかげで、かごはあっという間にいっぱいになった。
 レジで支払いのためにクレジットカードを出そうとして、黒いカードに目が止まる。
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