両片想い政略結婚~執着愛を秘めた御曹司は初恋令嬢を手放さない~
「わかってるよ。それに、後継者は俺じゃなく兄貴だろ?」
その問いかけに、翔真さんは答えなかった。整った横顔からは感情が読み取れず、私は少し違和感を抱く。
「あ、あの。このお魚、おいしいですね」
重くなった空気を変えるように笑顔で言う。
テーブルに並ぶのは、父がもらった立派な甘鯛を使った料理。板前さんが昆布締めにしたり塩焼きにしたり汁物にしたり、様々な形に調理してくれた。
まるで一流料亭に来たような豪華さだ。
お椀に口をつけて、ほうっとため息をつく。
「この潮汁、お出しがきいていて本当においしいです。私もおうちでこんなおいしい料理を作って、仕事で疲れた翔真さんに出してあげられたらいいなぁ」
やっぱりきちんと料理教室に通おうかなとつぶやくと、翔真さんが口を開く。
「気持ちはうれしいけど、彩菜は今でも十分料理上手だし、俺のために無理をする必要はないよ」
「本当ですか?」
「あぁ」
優しく笑いかけられ頬が熱くなる。
その様子を見ていた悠希が、「だから、そうやって見せつけるなって」とうんざりしたように顔をしかめた。
「あら。悠希は、彩菜ちゃんと結婚した翔真がうらやましいのね」
お義母様に言われた悠希は、さらに眉間のしわを深くする。
「は? 誰がうらやましいなんて」
その問いかけに、翔真さんは答えなかった。整った横顔からは感情が読み取れず、私は少し違和感を抱く。
「あ、あの。このお魚、おいしいですね」
重くなった空気を変えるように笑顔で言う。
テーブルに並ぶのは、父がもらった立派な甘鯛を使った料理。板前さんが昆布締めにしたり塩焼きにしたり汁物にしたり、様々な形に調理してくれた。
まるで一流料亭に来たような豪華さだ。
お椀に口をつけて、ほうっとため息をつく。
「この潮汁、お出しがきいていて本当においしいです。私もおうちでこんなおいしい料理を作って、仕事で疲れた翔真さんに出してあげられたらいいなぁ」
やっぱりきちんと料理教室に通おうかなとつぶやくと、翔真さんが口を開く。
「気持ちはうれしいけど、彩菜は今でも十分料理上手だし、俺のために無理をする必要はないよ」
「本当ですか?」
「あぁ」
優しく笑いかけられ頬が熱くなる。
その様子を見ていた悠希が、「だから、そうやって見せつけるなって」とうんざりしたように顔をしかめた。
「あら。悠希は、彩菜ちゃんと結婚した翔真がうらやましいのね」
お義母様に言われた悠希は、さらに眉間のしわを深くする。
「は? 誰がうらやましいなんて」