鏡と夜桜と前世の恋
ーー その日を境に咲夜は、雪美を買いに行く様になった。
今の生活も身請け準備が整うまでの我慢… 雪美が他の客に当たらないように通い、何度も何度も愛し合う毎日。
数日後…
今宵も咲夜が来るのを楽しみに店の外で詩を書いているともう二度と会いたくないと思っていた陸が現れる。
「… 何かしら?」
どうしてこの人がここに… 震えそうになる身体を落ち着かせながら平然な態度で振る舞う雪美。
「お前は家に戻るんだよ!!!」
イライラし頭に血が上った状態の陸は、無理矢理雪美の髪を掴み引き摺り歩こうとする。
「痛っ… 陸やめ… 」
「黙れ、あのクソガキにやる為にお前をここに入れた訳じゃねえ!」
「やだ!!は、離して…!!!」
突然の叫び声に気付き駆けつけた、雪美の付き人の男は、陸をその場で取り押さえ、引き剥がす。
「花魁に手を出すなんてご法度… 会いたきゃ金積みな」
「お、覚えてろよ!!!父と母に頼み、雪美… 絶対お前を連れ戻すからな!!!」
舌打ちし、悔しそうな陸…
付き人の男はそのまま陸を手荒く追い返す。
「… 嫌、絶対に戻りたくない… 絶対嫌よ、嫌… いやいやいやいや… 」
陸は、やると決めたら手段選ばず何でもやる男… 陸の言葉に危機感を感じ震える雪美を見た付き人の男は " 部屋に " と言い、雪美を部屋に連れて戻った。