鏡と夜桜と前世の恋


受け取った文の内容に一通り目を通した咲夜は、ある知られざる事実を知る事になる。



" 陸は本名ではない "



あの男の名前は『陸』ではなく『申又 (さるまた)』



陸は、母親の極悪非道の血を受け継ぎどうしても悪事を頻繁に起こしてしまうそうで… 万が一に備えて大切な跡取り息子の " 長男 " として前科を残させないと、おすずの手回しらしい。



どこまでもやり方が汚い奴らだ…



申又… さるまた… さる… 猿と言えば、おすずと陽菜から受けていた地獄の監禁生活中、おすずに言われたある言葉を思い出す…



" 陽菜と結婚すれば、咲夜さんが猿の代わりになれば良いのさ " 上に乗り上機嫌で腰を振るおすずが、そんな事を言っていた気がする…



陸の本名を知り『猿』と言う呼び方は、おすずが陸 (申又)を呼ぶ呼び方だったんだとこの時、気付いた。



あの頃は頻繁に、猿 (申又) の二代目になるんだよと言われていた。冗談じゃねえ、俺は猿じゃない!!!



アイツらに思う事は色々ある。



今すぐにでも俺とゆきの受けた心の傷や心の痛みを倍にして思い知らせてやりたい…



それでも、それ以上に咲夜の中で優先的に今、対処したい問題は、ゆきの身請け問題だった。

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