鏡と夜桜と前世の恋
暫く歩けば彼岸花の泉に到着。
「今年も無事に見れたな…」
嬉しそうな咲夜に対して雪美は " 見て? " と言いながらワザと彼岸花に触ろうとする。
「あ、だから!触ったらいけないと毎年言ってるだろうが!!」
咲夜のこの反応好き。
私はくすくす笑いながら彼岸花から手を遠ざけ " さく? " と問いかける。
「ん?」
「あのね… も、もう一度… 口付けして欲しいなって … 」
雪美は、恥ずかしさのあまり小声になりながらも頬を染め、ごにょごにょ言いながら咲夜を見つめる。
「聞こえないぞー?なんて?」
恥ずかしがる可愛い雪美の反応見たさに咲夜はワザと顔を近付け意地悪しながら聞き返す。
「絶対聞こえてる… 」
頬を膨らませその場に座る雪美。咲夜は " 仕方ないな... ゆきはずるい " と、言いながらも隣に座り… 2人は彼岸花の泉で2回目の優しい口付けを交わした。
雪美の内面は忙しかった。
心臓の音が鳴り止まない、咲夜もドキドキしてるの?私の心臓の音、聞こえたらどうしよう…
そんな事を考えながら満開の彼岸花を眺めていると、突然咲夜は彼岸花を一輪摘み取る。
「え、咲夜!触ったらダメなんでしょ?」
摘み取られた彼岸花を見てびっくりする雪美に対して咲夜は真剣な表情で真っ直ぐ見つめる。
" 思うは貴女1人 "
そう言って咲夜は摘んだ彼岸花の花を雪美の前にそっと差し出した。