鏡と夜桜と前世の恋
「え、触っていいの…?」
あれだけ触るなと怒っていたのに
どうしたの咲夜?真剣な表情を見せる咲夜はカッコよくて思わず胸が高鳴りドキッとする…
駄目、変に照れてしまう… 空気を変えようと彼岸花の話題を出すがその反応は貰えず。
「ゆきは俺との縁談… 後悔はしてないのか?」
「そんな… 小さな頃からずっと一緒で… 今更何を… 」
咲夜の目は真剣そのもので。さっきまで楽しく笑って話してたのに… 雪美の心臓はドキドキからドクンドクンと脈打ち始める。
「この縁談がなければお前は狙われずに済んだのに。でも、きっと俺は… 例えお前が町娘だとしても関係なく惚れていただろう。俺は来年、家が定めた結納の歳になる… もし逃げるなら今だぞ」
ーー 本当はこんな話しをしたくない。
けど… 雪美と未来を真剣に考えているからこそ、自分の中でモヤモヤしている事はそのままにはしておけない。
ーー 本当は手放したくもない。
雪美に対してこんな突き放すような言い方… 本当はしたくない。ずっと側にいたい、誰よりも近くに居たいのに。
ただ、陽菜やおすずに目を付けられている以上… 蓮稀達の様に、雪美にまで何をされるかわからない、そこがすごく怖い。
それに雪美は蓮稀のことを…
「さく…?」
何で突然そんな事聞くんだろう?
不安そうな表情を浮かべる雪美に対して咲夜は、手渡そうとしていた彼岸花の花を1輪、彼女の頭にそっとさし、本心を押し殺し咲夜は背中を向けた。