鏡と夜桜と前世の恋
ーー 鈴香が亡くなって数日後。
雪美はおすずの屋敷に呼ばれていた。
私、おすずさんに対して何かしちゃった?もしかして牢屋敷で盗み聞きしてた事がバレたとか?
「なんでしょう… 」
床は赤い絨毯の広い部屋
雪美は恐る恐るおすずに問いかける。
「話しは簡単だよ、政条家次男から手を引きな」
政条家次男って… 咲夜の事?
手を引けってなに?
雪美の心臓はドクンドクンと鈍く嫌な音を響かせる。
「咲夜は物じゃないんです!咲夜の気持ちは... 」
「黙りな!金貸しの娘が私にそんな口聞くんじゃないよ!」
「でも… 「口答えするんじゃない!」
雪美の言葉を遮り、大声で怒鳴りつけたおすずは、雪美の頬を思いきり叩く。
突然どうしてそんな酷い事言うの…
牢屋敷で蓮稀お兄ちゃんと咲夜に一体何があったの?
二人が牢屋敷から出た来たあの日… 中で何があったのか、詳しくは私に話してくれなかった。
「言ったね?咲夜さんがどうなってもいいんだね?」
「絶対に嫌です!私は咲夜とは離れません、離れないと約束したんです!」
この時の雪美は何を言われようが咲夜と離れる気は一切なくて…
「分からない子だね!嫌いだよ、この小娘が!きいいぃぃいいいいい!!!!!」
言いなりにならない雪美の態度に対し、怒りのあまり奇声を上げるおすず。
な、なんなのこの人… 怖くなった雪美は屋敷を飛び出し家まで全速力で走った。