鏡と夜桜と前世の恋


ーー 蓮稀がおすずに頭を下げ続けていた同時刻、咲夜は雪美の居そうな場所に向かっていた。



蓮稀とおすずの屋敷に行くのに雪美は連れて行くのは危険だと判断した咲夜は " 家から出るな " と、伝え留守番させていたのに… 雪美は家に居なかった。



「どうせまたあそこだろう… 」



咲夜は落ちていた木の棒を拾い、振り回しながら森道の茂みの中に入って行く。







「ゆきは怖くなると昔からここだ」



森道の中、小さな洞窟がある場所に来た咲夜は震えながら身を隠す雪美を見つけ、目の前でしゃがみ込む。



「ゆーき、いたいた… 」



「さく… おすずさんどうだった?私も鈴香ちゃんみたいに殺されるかも… 怖い… 」



雪美の震えは止まらない。



「俺は、ゆきの事だけは自分の命に変えてでも守るから。蓮稀には悪いけど… 正直ゆきじゃなくて良かったって思った。俺も最低だよ… 」



「鈴香ちゃん… やだよ、鈴香ちゃん… 」



震えながら泣きじゃくる雪美は咲夜に抱き付く… 雪美の体を抱き締めた咲夜は、これでもかってくらい強く強く抱きしめ続けた。



「咲夜さーん❣️」



聞き覚えのある声。咲夜と雪美の目の前に現れてのは、この勘に触る猫立て声はアイツしか居ない… 陽菜だ。



ここまで付けられていたのか?



陽菜の声を聞いて一瞬固まるが慌てて我に返り " 雪美、行こう " と、咲夜は雪美の腕を引っ張りその場から逃げようとする。

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