鏡と夜桜と前世の恋


咲夜に頭を下げたゆりねは、そのまま話しを続ける…



「私の仲間に探りを入れさせた所、咲夜様は無実、大変な事になっていると… ご両親にその朗報をお伝えし、雪美様のお父上にも事情を話し相談した所、雪美様のお父上は私を京に送って頂き、雪美様の無事を確認した後、咲夜様を逃がしに参りました」



今日まで本当に長かった…



辛かった、苦しかった、死にたいと何度も願った、死ななくて良かった… この地獄からやっと抜け出せる。



ゆきの事を迎えに行ける



泣きそうになる咲夜を見たゆりねは気持ちを察し " 良かったです咲夜様… " と、内心胸を撫で下ろし、懐から取り出した万華鏡を咲夜に手渡す。







「この万華鏡は蓮稀様と鈴香様が、咲夜様と雪美様の結婚式に渡すはずの物でした… 」



蓮稀と鈴香が残したこの万華鏡は、2人の遺品… 咲夜からすると大切な形見同然。



本当は… 幸せな未来を迎えるはずだった、四人で笑って平凡で穏やかな毎日を過ごすはずだったのに



蓮稀、鈴香… どうしてこうなったのだ…



「そうだ、蓮稀と鈴香は!?」



「お2人の亡骸は供養し、京の寺に埋葬致しました。あろうことか亡骸さえも欲しいとおすずと陽菜は言い始めましたので… 」



亡骸まで?


手に入れてどうするつもりだ、飾っておくつもりなのか?どうしてあの一家は、そこまで俺達に執着するのだろう… ここまで来ると気持ち悪いしかない。



「安心してください。お2人の亡骸は私が責任を持って埋葬させて頂きました」



" よかった… "



ゆりねの話しを聞いた咲夜は涙を流す。



「行きましょう、仲間が直ぐそこまで来ています」

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