鏡と夜桜と前世の恋
「さく、まだかな… 」
京でも見つけた団子屋に寄り、お団子をたらふく食べた雪美は、初見世が始まるギリギリの時間までいつもの場所で咲夜が来るのを待つ。
この場所はいつ来ても綺麗… ましてや春は、私の大好きな綺麗な桜も咲き乱れるのだから。
日が暮れかけた景色を橋の上からボーッと眺めている雪美は、今日も一人で川に向かって話し始める。
「さくがなかなか来ないから… 京に来てからお団子何本食べたかしら私... 」
" 咲夜が迎えにきますように "
雪美は願掛けの意味を込め、咲夜との約束の場所に来る時には必ずお団子を食べてから、自分に気合いを入れて行くのを日課としていた。
咲夜との約束からもう一年…
じゃなきゃ心が折れてしまって、泣きそうになる… 咲夜が死んだなんて私は絶対に認めたりしない。