鏡と夜桜と前世の恋


ーー 咲夜様、いけません、そのお身体では!!



牢屋敷からの脱出後…



気を失い、意識を取り戻した咲夜は、何もかも後回しで付き人と一緒に京に向かった。







「ゆき… ゆき… 」



時刻はお昼過ぎ… 列車を降り、痛む足を引きずりながら約束の場所に向かうが雪美の姿はなく。



俺が待たせ過ぎたからだ…



一年前の約束を " 行けばゆきが居る " リアルタイムの約束のように考えていた咲夜は、一気に現実へと引き戻されその場で崩れ落ちる。



俺はゆきの事を裏切ったも同然。迎えに行くと言って行かなかった… その時点でどうしてわからない、愛想を尽かされてもおかしくない事をしたと言うのに…



「俺の事なんてきっともう… 」



完全に諦めモードの咲夜…



ゆきが俺を待ってくれていなくとも、それでもゆきにひと目だけでも会いたい。咲夜はふらふらする足取りで京の街を… 雪美が居そうな場所を、探し歩いた。

< 96 / 117 >

この作品をシェア

pagetop