鏡と夜桜と前世の恋
ーー 咲夜様、いけません、そのお身体では!!
牢屋敷からの脱出後…
気を失い、意識を取り戻した咲夜は、何もかも後回しで付き人と一緒に京に向かった。
「ゆき… ゆき… 」
時刻はお昼過ぎ… 列車を降り、痛む足を引きずりながら約束の場所に向かうが雪美の姿はなく。
俺が待たせ過ぎたからだ…
一年前の約束を " 行けばゆきが居る " リアルタイムの約束のように考えていた咲夜は、一気に現実へと引き戻されその場で崩れ落ちる。
俺はゆきの事を裏切ったも同然。迎えに行くと言って行かなかった… その時点でどうしてわからない、愛想を尽かされてもおかしくない事をしたと言うのに…
「俺の事なんてきっともう… 」
完全に諦めモードの咲夜…
ゆきが俺を待ってくれていなくとも、それでもゆきにひと目だけでも会いたい。咲夜はふらふらする足取りで京の街を… 雪美が居そうな場所を、探し歩いた。