優しく笑う君が好きだから
まだ病み上がりなのに今日も早乙女さんは、昼練のため吹奏楽部の部室である音楽室に行った。正直『無理しないで』と声をかけたいくらいだが、そんなことは出来ない。それは僕が早乙女さんと1度も話したことがないだけが理由ではない。この学校の吹奏楽部はマーチングが有名で、毎年様々なコンクールや大会でたくさんの好成績を収めている。それは日々の厳しい練習のおかげらしい。顧問の萩先生が厳しく指導しているそうだ。そんな部活のキャプテンに向かって、部外者が『昼練は休んだ方がいい』だなんて言えるはずがない。
教室で、いつも通り健とどうでもいい話をしながら、お弁当を食べていた。ちなみに健は学食のメロンパンを、とてもおいしそうに食べている。すると、教室の後ろの方から、またあの声たちが聞こえてきた。
「なんか最近面白いことないなー」
「カラオケも飽きてきたよね〜」
藤原さんたち4人組が紙パックのジュースを片手に話していた。
「じゃあさ次は、早乙女で遊ばない?」
「えめっちゃいいじゃん。賛成〜!」
その言葉達を耳で受け取ることは出来たが、脳で理解するのに、時間を要した。僕は早乙女さんが虐められるかもしれない、と理解したかと思えば、恐怖・不安が襲ってきた。自分が虐められる訳では無いのに。けれど、早乙女さんが虐められるのを想像するだけで嫌だった。
午後の授業も昼休みの藤原さんたちの軽はずみな発言が頭から離れず、いつにも増してほぼ集中出来なかった。
教室で、いつも通り健とどうでもいい話をしながら、お弁当を食べていた。ちなみに健は学食のメロンパンを、とてもおいしそうに食べている。すると、教室の後ろの方から、またあの声たちが聞こえてきた。
「なんか最近面白いことないなー」
「カラオケも飽きてきたよね〜」
藤原さんたち4人組が紙パックのジュースを片手に話していた。
「じゃあさ次は、早乙女で遊ばない?」
「えめっちゃいいじゃん。賛成〜!」
その言葉達を耳で受け取ることは出来たが、脳で理解するのに、時間を要した。僕は早乙女さんが虐められるかもしれない、と理解したかと思えば、恐怖・不安が襲ってきた。自分が虐められる訳では無いのに。けれど、早乙女さんが虐められるのを想像するだけで嫌だった。
午後の授業も昼休みの藤原さんたちの軽はずみな発言が頭から離れず、いつにも増してほぼ集中出来なかった。