甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

「…高山チーフ?」

「何あったんだ?」

「…何もなかったです」

「嘘だな」

「本当に何もなかったです」

ちょっと砕けた話し方をしてきただけだし、ちゃんづけ呼びされただけだし、肩を抱かれそうになっただけだし、2人きりで打ち上げ誘われたけど、回避できたと思うし、大丈夫です。

「わかった。言いたくないなら聞かないでやる。で、相談って?」

「…あっ、それなんですが…」

無理やり聞き出すつもりはないことにホッとしたのだが、抱きしめた腕を解いてくれない。

「腕を解いてくれませんか?」

「なんでだよ」

「話しにくいです」

「何あったか言うなら話してやる。話さないなら、このまま聞く」

「…うっ、卑怯ですよ」

いつ、誰が入ってくるかもわからない部屋で、抱きしめられているところを見られるのは、非常に、まずい。

「わかりました。話しますから、解いてください。誰かに見られたら、セクハラしてるって誤解されますから、早く」

「…俺は見られてもいいけど。セクハラじゃないだろ。体の隅々まで知ってる仲なんだから、んっ⁈」

解いた腕を上げて、私の髪の先を指で絡めた後、フェイスラインを掴み持ち上げられ、視線が合ったが、なんだか、不機嫌そうに笑う。
< 100 / 145 >

この作品をシェア

pagetop