甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「…高山チーフ?」
「何あったんだ?」
「…何もなかったです」
「嘘だな」
「本当に何もなかったです」
ちょっと砕けた話し方をしてきただけだし、ちゃんづけ呼びされただけだし、肩を抱かれそうになっただけだし、2人きりで打ち上げ誘われたけど、回避できたと思うし、大丈夫です。
「わかった。言いたくないなら聞かないでやる。で、相談って?」
「…あっ、それなんですが…」
無理やり聞き出すつもりはないことにホッとしたのだが、抱きしめた腕を解いてくれない。
「腕を解いてくれませんか?」
「なんでだよ」
「話しにくいです」
「何あったか言うなら話してやる。話さないなら、このまま聞く」
「…うっ、卑怯ですよ」
いつ、誰が入ってくるかもわからない部屋で、抱きしめられているところを見られるのは、非常に、まずい。
「わかりました。話しますから、解いてください。誰かに見られたら、セクハラしてるって誤解されますから、早く」
「…俺は見られてもいいけど。セクハラじゃないだろ。体の隅々まで知ってる仲なんだから、んっ⁈」
解いた腕を上げて、私の髪の先を指で絡めた後、フェイスラインを掴み持ち上げられ、視線が合ったが、なんだか、不機嫌そうに笑う。