甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

高山チーフの声かけで、一気に、スタッフの活気が上がるのだ。

ほんと、人を動かす話し方が上手だと感心するばかりで、沢内さんなんて、大きく拍手していた。

来場者が来る前に、高山チーフと一緒に差し入れを持って挨拶に回り、最後に高山チーフと一緒に伺ったラーメン店の店主の元へ。

「本日は、よろしくお願いします」

「こちらこそ宜しく頼みます」

「小柴を遠慮なく使ってください」

「あぁ、嬢ちゃん、頼りにしてるよ」

「任せてください。後で、また、きますね」

担当のアルバイトスタッフに目配せして、私は、高山チーフと最終チェックに回っていく。

「高山さん、小柴ちゃん」

少し離れたところから、駆け足でやってくる若林さんに、隣の男からは、ボソリと「小柴ちゃんだぁ」と怒りの声。

なぜあなたが怒る。

「どうされました?若林さん」

笑顔を作っているが、高山チーフはかなり不機嫌そうで、私は、若林さんに近寄ってほしくなく2、3歩、前に進んでいく。

まぁ、すぐに隣にこられたのだが…

「あっちの茶色の外観の住宅の担当が、俺ひとりなんで、小柴ちゃんに手伝ってほしいと思うんですが、ダメですか?」
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