甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「…若林さん、ありがとうございます」
「小柴ちゃんさぁ」
「あの…前から思ってたんですけど、ちゃん付けで呼ばれるほど、私は若くもないので、できればやめてほしいんですけど」
「あー、なるほど。なら、菜々緒さ、あの高山さんと距離置いた方がいいよ」
うん?
驚きすぎて思考が停止するというのは、このことかと、変に納得してしまう。
「若林さん、高山は私の直属の上司ですし、それは無理かと。それに、なぜ、若林さんにそのようなこと言われないといけないのでしょう?」
「それ、やめない。もうさ、仕事相手じゃなくなるし、下の名前で呼べよ」
「えっと、なぜ?」
怖い、怖い…この人の思考どうなってるの?
「小柴…ゴミ、まだあったぞ」
もう、その声で安心してしまう。
「高山チーフ、確認不足ですみません。わざわざ持ってきてくれたんですね。ありがとうございます」
「またかよ。絶対、あいつ、お前に気があるから気をつけろよ。俺の彼女にしてやるんだから、高山さんと距離をおけよ」
ボソリと耳元で早口で囁かれて、震え、ゾワリと悪寒がはしる。
イケメンだろうが、生理的に無理だ。
私は、この人に告白まがいのことをした記憶がないのだ。