甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「すみません、若林さん。お手伝いしていただいたんですね。後は、私と、小柴で運びますので、先にいるスタッフと合流してください。後ほど、打ち上げで会いましょう」
ホッとして、無意識に高山チーフの腕を掴んでいたらしく、若林さんは、鋭い目つきで私を睨んで「菜々緒、よく、考えろよ」と、捨て台詞を残していった。
「なんだ、あれ?」
「助かりました」
その場で、しゃがんでしまう。
「おい…菜々緒」
普段なら苗字で呼ぶのに、私が顔面蒼白で崩れるので驚いたのだろう。
彼も、私の目線に合わせて腰を下ろして、何も言わずに抱きしめてくれた。
好きだなぁ…
この人が好きだ。
こんなに安心する。
誰にも取られたくない。
「高山チーフ」
「なんだよ」
「私と付き合ってください」
「へっ?」
突然のことで驚きすぎて、彼らしくない間抜けな表情で、何度も瞬きを繰り返している。
「ダメですか?私、母のように嫉妬深いかも知れないし、高山チーフの全てを知っていないと気がすまない女かも知れないです。それでも、嫌じゃなかったらセフレ解消して、付き合ってほしいです」
ずっと悩んでいたのが馬鹿みたいに思えてくる。