甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
その手を離す気なんてなれない。
「小柴さん、飲んでる?ほら、ジャンジャン飲みなよ」
まだ、半分ほどあるグラスにビールを注がれて引き攣るが笑顔は絶やさない。
「ありがとうございます。いただきます」
実は、既に酔ってきている。
忙しくあまり食べずにいて、空きっ腹に一気にアルコールをいれたせいだろう。
注がれたグラスを見て、ふーと、熱い息を吐くと、その場の皆が息をのむ。
隣で舌打ちが聞こえるが、体中が熱く、飲むのも辛い。
「ラーメンて簡単そうにみえますが、麺にしろ、スープにしろ奥が深くてびっくりですね。俺、あちこち食べに行きますけど、店主さんお勧めのラーメン店、もしくはお店ってありますか?今度、彼女と行きたいんでよ」
「高山さん、色男だもんな。やっぱり彼女いたか」
誰?と隣を見ると、ぎゅっと握られホッとする。
「色男なのは自覚してますが、俺の彼女、ツレないんで、たまに自信無くします」
「あははは…」
笑いをとっている間に、高山チーフは、自分の空けたグラスと私のグラスを瞬時に交換していく。
もう、これは…彼を好きだが、惚れる。
「ビール以外で何か飲みませんか?」
「そうだな」
「俺、ウーロン割りで、皆さんは?」