甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「はぁぁ、獣とかいうから我慢してたけど、今のはお前が悪い。こっち向けよ」
私が悪いの?
そう思いながらも、受け入れてしまう辺り、どうかと思う。
さすがに今回は、明日を考慮してくれたらしく、キスだけ。それもねちっこいキスだったけど、お互い満足しておでこを合わせて微笑むのだった。
翌日は、さすが着替えていないと、沢内さん辺りに気がつかれてしまうので、朝イチで家まで送ってもらい、一緒に出勤と言い出した。
「どうして一緒?先に行ってくださいよ。なんなら、後からでもいいですから、別々に出勤しましょう」
「なんで?俺ら付き合ってるんだから、いいじゃん」
「恥ずかしいんです。社内恋愛ですよ。万が一に別れることになったら、みんなと気まずいです」
「別れる気ない。なんなら、今すぐ一緒に住みたい」
「いや、さすがにそれは…告白した時に勢いで言いましたけど、私の両親、愛し合って結婚したはずが、母の嫉妬が激しくて、それに耐えられなくなった父は家を出て行きました。そんな両親を見てたので、私も母のように壊れて好きな人に嫌われるのが怖かったんです」
「それで?」
「まだ、お互いのことも知らないことだらけですし、とりあえず、お付き合いで私の事見ていてください。嫉妬してうざいと思うようなら、言ってください。頑張って治します」