甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

「はぁぁ、獣とかいうから我慢してたけど、今のはお前が悪い。こっち向けよ」

私が悪いの?
そう思いながらも、受け入れてしまう辺り、どうかと思う。

さすがに今回は、明日を考慮してくれたらしく、キスだけ。それもねちっこいキスだったけど、お互い満足しておでこを合わせて微笑むのだった。

翌日は、さすが着替えていないと、沢内さん辺りに気がつかれてしまうので、朝イチで家まで送ってもらい、一緒に出勤と言い出した。

「どうして一緒?先に行ってくださいよ。なんなら、後からでもいいですから、別々に出勤しましょう」

「なんで?俺ら付き合ってるんだから、いいじゃん」

「恥ずかしいんです。社内恋愛ですよ。万が一に別れることになったら、みんなと気まずいです」

「別れる気ない。なんなら、今すぐ一緒に住みたい」

「いや、さすがにそれは…告白した時に勢いで言いましたけど、私の両親、愛し合って結婚したはずが、母の嫉妬が激しくて、それに耐えられなくなった父は家を出て行きました。そんな両親を見てたので、私も母のように壊れて好きな人に嫌われるのが怖かったんです」

「それで?」

「まだ、お互いのことも知らないことだらけですし、とりあえず、お付き合いで私の事見ていてください。嫉妬してうざいと思うようなら、言ってください。頑張って治します」
< 123 / 145 >

この作品をシェア

pagetop