甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
うわっと悲鳴やら歓声やら入り乱れる。
「仕事には支障ないよう今までと変わらずに、皆と同じ扱いに気をつけていく。なんか、贔屓だとか問題だと思ったら、遠慮なく言ってくれ」
「突然のことで、驚かせてしまってすみません。私も、今まで通り、ここで勤めて行きたいと思ってます。ちゃんとプライベートとわけますので、よろしくお願いします」
「はぁぁ、菜々緒ちゃんと高山が…とうとう。応援するけどさ…もう、今日は、帰さないわよ」
「返してもらうけど」
お互いの意味が違う気がするが、バチバチと睨み合っているので、スルーして仕事にかかろうと。
「私達も、聞きたいことだらけです。朱音さん、ご一緒していいですか?」
「いいわよ。とことん聞き出しましょう」
「はーい」
「仕事しろよ」
そんな朝から始まった一日は、あっという間にに夕方になる。
2日間のイベントの報告書に、打ち上げに参加されなかった店主の元へご挨拶に周り、過ぎていった。
「菜々緒ちゃん、おかえり。さぁ、行くよ」
派遣社員の有馬さんと、受付の結城さんと朱音さんが待ち構えていた。
拉致られるように、両サイドの腕を組まれて朱音さんの後をついていく際、振り返る。
『後で迎えに行く』と、口パクと笑顔で見送られた。