甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
私の知らない何かがあるのだろう。
「さぁ、家に帰ろう」
手を繋いで歩いていく。
「私、うさぎのぬいぐるみ、まだ持ってます」
それだけで通じたらしく、「聞いたのか?」と顔を真っ赤にさせていた。
「はい。運命感じてくれてたんですね」
「やめろ、恥ずかしいだろ。大の男が運命なんて言って、ずっと片想いしてたなんて」
「嬉しいです」
背後で、まだいい争う2人を置いて、私達は先へ進む。
このまま、彼との未来を信じられる気がしてぎゅっと繋いでいる手を握ると握り返してくれる。
「この上に街並みを見渡せるチャペルがあるって知ってるか?」
「そうなんですか?まだ、友達に結婚してる子いないんで、そういう場にご縁がなかったから知らなかったです」
「なら、菜々緒が、友達の中で一番になろうか⁈」
「付き合ったばかりですよ。気が早いですよ」
「妊娠してる可能性もあるし」
「えっ?避妊してましたよね⁈」
「気をつけてたけど、昨日は、うっかりとね」
何がうっかりなのか聞くのも呆れるぐらい、澄ました顔は、確信犯である。
私の答えは一つだけしかない。
「離婚しませんよ」
「俺なんて、逃げてもどこまでも追いかけるから」
半年後、丘の上で2人の執着愛に丘の鐘が高らかに鳴っていた。
【 end 】