甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

「…高山チーフ?」

「何あったんだ?」

「…何もなかったです」

「嘘だな」

「本当に何もなかったです」

我慢している時に唇を噛む彼女の癖。
聞き出そうとしても答えないなら、やり方を変えればいい。

「わかった。言いたくないなら聞かないでやる。で、相談って?」

「…あっ、それなんですが…」

いつまでも離さないせいで、上目遣いに睨んでくるが、怖くもない。

可愛いだけだと教えてやりたい。

「腕を解いてくれませんか?」

「なんでだよ」

「話しにくいです」

「何あったか言うなら話してやる。話さないなら、このまま聞く」

「…うっ、卑怯ですよ」

頭の中でいろいろと考えを巡らせているのだろう。表情がコロコロと変わり、もう、愛しいしいの言葉しかない。

「わかりました。話しますから、解いてください。誰かに見られたら、セクハラしてるって誤解されますから、早く」

あいつらなら、気を利かせて誰も近寄らないだろうが、そこまで焦る必要はないだろと苛立つ。

仕事もろくに手をつけれないぐらい心配で、こうして抱きしめて安心できているというのに、離せというのか⁈

「…俺は見られてもいいけど。セクハラじゃないだろ。体の隅々まで知ってる仲なんだから、んっ⁈」
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