甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

指先で、彼女の髪の先を絡めた後、フェイスラインを掴み持ち上げ視線をあわせた。

「痛いです」

「痛くしてるんだよ。まったく…わかれよ。バカ女」

「バカ女⁈は酷くないですか?」

「バカは、バカだろ…」

唇を押しつけ、触れるだけのキスを続けていたら、腰に抱きついで来られ、思わずやばいと、このままでは自重できそうになく、彼女と距離をとった。

「で、何があった?」

立っているからダメなんだと、椅子に腰掛ける。

「…打ち上げに誘われました。けど、イベント後にご一緒に打ち上げするのでとお断りしました」

「2人きりでって言われたんだろ」

「…まぁ」

若林…最初会った時から気に食わなかった。タイプは違うが、仕事は別として、男として自分に自信のある男は、靡かない女でも、口説けば堕ちると疑わない面倒ないタイプ。

隙を見せるなというのも、彼女には難しいだろう。

普段、男性との距離をとっている癖に、不意に無防備になる女なのだから、目が離せない。

「また、誘われても断れよ。わかったな」

「もちろんです」

元気のいい返事に、若林には脈はないなと、嘲り笑う。

相談内容は、ゴミ箱の件だった。
なんとでもなる話を相談してくる辺り、無意識に若林のことを相談したかったのかもしれない。
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