甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
そこで、今回のお礼と次回につながるように話を合わせておだてておく。
その席にいる若林は、菜々緒を見ている。
いい加減、自分に興味を持たれてないと認めればいいものを、プライドが高い男には、できないのだろう。
菜々緒は、仕事と割り切って若林にもお酌しに向かった。
「お疲れ様でした。若林さんのお力添えのおかげで、ラーメン祭はどのお店も大繁盛でとても喜ばれていました。あんなにたくさんの方に来ていただけるなんて、さすが、朝日ホームさんの住宅展示場ですね。会場を貸していただきありがとうございました」
「まぁね、最初はどうかと思っていたけど、うちの所でやって正解だったろ。他じゃ、失敗してたんじゃないか」
「朝日ホームさんだから、できたんだすよ」
当たり障りなく、その場をやり過ごそうと、笑顔を作る彼女に、若林は、ニタリと笑う。
「だろうな。で、やっぱり、俺の方がいいだろう」
自分の実力でもない。ただ、大きな会社に運良く勤めれただけの男のくせに、俺よりも自分の方がいいだろうと、優越感に浸りたいのだろうと、見え見えに俺を煽ってくる。
菜々緒に選ばれることもないのに。