甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
派遣社員の有馬さんや、受付の結城さんは、高山チーフ狙いで、なぜか、私を目の敵のようにしていて、いつも冷たいのだ。
だが、藤原さんだけは、高山チーフをガキ扱いする唯一の人で、私の理解者である。
「…あかねさーん。どうしましょう⁈どうしたらいいんですか?」
「えっ、なに?何があったの?」
そこへ、高山チーフが戻ってきてデスクについた為、相談することも躊躇われる為、口元を隠して小声で、「帰りに聞いてください」と言うと小さく頷く朱音さんだった。
終業間近になって、電話が鳴った。
電話の持ち主は高山チーフで、ニタリと勝ち誇った悪い笑みを浮かべ、親指を立てていた。
「先程は、ありがとうございました。私どもも、戻りましてすぐに社長に話の経緯を報告させて頂き、そちらが今回の企画をうちに任せてくださるなら勉強させて頂きますと言ってますので、そちらの提示される金額とうちが計上した金額の間を取るというのは難しいでしょうか?」
スタッフは、帰り支度を止めて、チーフの会話の内容に聞き耳を立てている。
「えぇ、そうです。そこの問題さえ解決できるなら、うちに任せてくださるんですね。でしたら、その間まででしたら、私の方で、お力になります。社長を説得しますよ」