甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「で、何があったの?」
2人きりになった途端、前のめりに顔を近づけてくる朱音さんの目は、何故だかキラキラと輝いて見えるのは気のせいだろうか?
私は、横に置いた鞄の中に閉まったままになっているペットボトルを、鞄の上から触った。
そして、通路を覗き見て誰もいないことを確認してから、朱音さんに顔を近づけて小声で話しだす。
「実は、帰りの車の中で高山チーフに…」
「高山に?」
「…っ、ベロチューされたんです」
「はぁぁ⁈ベロチュー…」
声が大きくなる朱音さんに、シーと唇に人差し指を立てて、相談しようする私が落ち着いてとなだめるおかしな光景だ。
「あいつ、とうとう…そっか、付き合うことになったんだ」
「いえ… 違います。私がいけないんですけど…まさかキスされるなんて、それも…」
「はぁっ?どういうこと?」
なぜかわからないが喜んでくれていた朱音さんだったが、一気に険しい表情に豹変。
「高山チーフについてきてもらったのに、私、企画がその場でまとまらなくて落ち込んでたんです。それで寄り道して、コンビニで飲み物を買ってきてくれたんです」
「ふーん。カッコつけて」
朱音さんがケッと吐いた表情の後、スタッフが生ビールとサラダを持って来てくれた際、新さんからと、お通しに揚げパスタが出てきた。