甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
頭を軽く抱える朱音さんを残して、新さんは、後でデザート持ってくるわと、言い逃げしていってしまう。
「朱音さん、結婚されてたんですか?」
私は、初めて知る情報に驚き、興奮気味になる。
「してないから」
「えっ、旦那さんって」
「私のことはいいから、食べよ」
これ以上の追求は、出来なさそう。
気になるが、それぞれを取り分けて口をつけていく。
パスタは、シラスを山盛りにし、卵をからませたバター醤油風味で、ほのかにニンニクの香りがして辛味がアクセントであり、めちゃくちゃに美味しい。
「うーん。美味しいですね」
「だね…客層は変わったけど、料理は美味いのよね」
「ピザも食べましょう」
シラスと大葉の和風ピザも、大葉がいい仕事をしていて、クリスピー生地で私好みで美味い。
もぐもぐと食べながら会話は進んでいく。
「正直な話、菜々緒ちゃんは、高山をどう思う」
「私ですか?怒られてばかりですが、上司としては、尊敬してますよ」
「へー、上司としてはね。男としては?」
「…歴代の彼女さん、私が知ってる数も合わせてもきっと両手で足りませんよ。最近は、忙しすぎてそんな暇がなかったせいかもしれないですけど、私にまで、キスするなんてふざけてますよね」