甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
もう一度言おう。
私は、こういうタイプの男が大嫌いだ。
「お前が担当する朝日ホームの住宅展示会場で行うラーメン祭の企画書を見たが、開催会場をちゃんと視察してきたのか?駐車場でイベントして、その後、本来の目的である住宅展示会場に人を呼び込むことができると思っているのか?出店者側にもあんな企画で収益見込めると本気で思って出してるのか?」
「高山チーフ、お言葉ですが、主催者側に私もそのように説明はしました。開催会場を変更するか、出店舗の配置と飲食スペースの配置の見直しを提案しました。ですが、主催者側からそのように指示されたら、どうすることもできないじゃないですか。私なりに努力しました」
ここで、大きなため息をひとつされて、あーまたと身構えた。
「馬鹿野郎。失敗するのが見えているのに、引き下がる奴があるか。失敗すれば、我が社の今後の運営にも影響するんだ。断られても頷かせる案を考えろ。ノーと言われたからと引き下がるな。お前も失敗するとわかってる企画を提出するな」
目の前の男の言葉にグッと唇を噛んでいた。
「でも、向こう側が、私が女だからと見下して、他の会社に話を持っていくのが嫌なら、主催者側の言うことを聞いてればいいと言われたら、私はどうすればいいんですか?」