甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

「いやー、意外とついてたな」

「彼女でもない女にこんなに沢山のキスマークをつけるなんて、頭の中バカなってたんですね」

「ほんと、バカなってたわ」

鏡越しの私の嫌味も通じないらしい。

「もう、いーです。帰ります」

散らばっていた服をかき集めてきた男の手から、服を取り上げてサッサと服に袖を通していくが、腰が痛いせいで、ショーツはなんとか履いたが、ジーンズを履く際、壁を背にしてもなかなか履けないという辛さ。

わかるだろうか?

この男にわかるはずもない。

私の後から服を着始めたというのに、既に服を着て鏡の前で髪を乾かし撫でつけている。

腹立つな…

「下僕、ちょっと手を貸しなさいよ」

「下僕はいらないんだろ、クッククク」

クッゥー、ムカツクと睨むと肩をすくめて、仕方ないと膝をついた。

「はいはい。姫、おみ足をこちらへ」

足を持ち上げてジーンズに足を通してくれたおかげで、なんとか、履くことができた。

「ありがとうございます」

「もう、下僕ごっこ終わりかよ。まぁいっか…髪乾かしてやるよ」

立ち上がった高山チーフは、私の髪を乾かして、櫛でブラッシングまでの至り尽せり具合の慣れた感に、歴代の彼女にも同じ事をしていたのだろうと思うと、モヤモヤと苛立つのだ。
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